フィジカルリリース プロローグ
身体の筋肉の緊張がなかなかとれない。いわゆる、コリ。イスに座りっぱなしで「腰や背中が痛い」とか、モニターの文字を見すぎて「首や肩が重い」など。専門家の先生がいうには、同じ姿勢でいると血行が悪くなり、筋肉に乳酸などの老廃物がたまることなどが原因らしい。ストレスでも筋肉は緊張するから、いろんな人と付き合うだけでもシンドイという人もたくさんいる。僕もその一人だ。ただ、ひどくなると頭痛や不眠など仕事や生活に支障が出る。先生がいうには「長期間つづくと脳梗塞の危険も高まること」もあるらしい。そんな話を聞くと、よけい緊張して、また肩がこる。
だから、何かあるたびに、僕は身体の筋肉の緊張をほぐしにいく。「プレゼンの資料を徹夜で作った」といっては肩をホグしてもらう。「出張で、新幹線や飛行機で座りっぱなしだったから」と旅先のホテルで腰をホグしてもらい。プレゼンが成功したら、自分に「おつかれさま」といいつつココロと全身をゆるめもらって、溜まったストレスを洗い流す。ストレスにさらされやすいのか、コリやすいのか。そんなこともあって、僕はホグされマニアだと宣言してもいいかもしれない。
身体をホグして、いつも良い状態に保つことは、やはり大事みたいで、シャーリー・マクレーンがピアノ教師の役で出演した映画「マダム・スザーツカ」にも、パーフェクトな演奏のために生徒に整体を勧めるシーンが登場する。日本で一般的なのは、マッサージ、指圧、整体、スポーツマッサージ、針などだが、マニアックなところでは、オーストラリアで生まれたアレキサンダーテクニークとか、数リットルの温かいオイルを額の中心(チャクラ)にたらすアーユルベーダー(インド医学)のシローダラーなる治療法もある。昔から世界中の人たちはコリと戦っていたのだ。
そんなふうに身体をホグしに行くことを、僕は「フィジカルリリース(身体の緊張を解くこと)」と名付けている。友人や知人に「ちょっとマッサージにいってくる」なんていうと、その語感には、何やら意味もない贅沢さや、怠惰なイメージというか、リアルな生活感がにじみ出るような気がするからだ。英語では「treatment(トリートメント)」なんて表現がよく使われるけど、日本だと髪の手入れと勘違いされそうだし……。
そんな理由で、ロンドンの漢方薬店の地下室やマイアミの高級スパ、ロサンゼルスのトラデショナル・マッサージパーラーなど、いろいろな場所で受けた興味深いホグしワザを紹介していこうと思っています。
第一回目は、リフレクソロジー(足ツボ押し)。足の裏を押して、どうしてに全身に効くのだろう。街で見かけるリフレクソロジーは、「英国式」と記されていることが多い。足のツボと聞くと、経絡(けいらく)っぽいから古代中国が発祥のような気がするけれど……。
というわけで、次回のフィジカルリリースは「ロンドン編 上 ”日本で見かける英国式リフレクソロジー”は、本当に英国式なのか?」です。お楽しみに!
「ロンドン編 上」につづきます
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