ディスカッション6 of h3m

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デジタル時代の人やモノの距離感 ブログよりもややフォーマル、原稿にするには個人的なこと

マジシャンの身体のシセイとか…

ディスカッションは、もう第5回目。今回のテーマは「身体」についてです。
参加者は、お酒と理屈、ドライブが大好きな介護福祉士、幼稚園教諭の経験をもつ雲水(♀)さん、子供たちにマジックを指導することも多い治療家の鍛治中 政男さん、多くのマジックの書籍を翻訳、出版し、マジックに造詣の深い角矢 幸繁さん、そしてクロースアップマジシャンの前田 知洋です。
(このノートはFacebookグループでディスカッションを再構成したものです)

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Photo: Luc Viatour

良い姿勢は自然体で力みがない

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前田知洋 身体の調子はどうですか?


鍛治中ニュー.jpg鍛治中 政男
私は元気ですよ!久しぶりのディスカッションですけど、皆さんお元気でしたか?


173341_100002003532750_5635760_n.jpg角矢 幸繁
体調は良いのですが、寒暖の差があると以前痛めた腰が痛くなるのが怖いですね。


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前田 僕は、このところ姿勢を変えたので首がこるんですよね(笑)


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雲水 秋になりますと、さつまいもなどを使うお菓子が増えて、その処理で肩から腕にかけて筋肉痛になってしまいます(笑)


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鍛治中 前田さんはどんな風に姿勢を変えたんですか?


186120_100000000193084_417986_n.jpg前田 頭を後ろに少し引くというか、顎を引くというか、リクライニングシートに座っているような…。そうすると、写真うつりがいいって聞いたもんですから…

鍛治中ニュー.jpg鍛治中 あ、それ大事ですね!首や肩の筋力が低下してくると徐々に顎が前に出てきて姿勢が悪くなるので、そういった姿勢を意識すると筋力低下の予防になります。
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前田 健康にもよく!見栄えもいいと!(笑)


173341_100002003532750_5635760_n.jpg角矢 以前、ホテルにお勤めの方にインタビューをする機会があって、ホテルマンとして一番気を使っている点は何か?と聞いたら「姿勢」と答えたのです。それは「健康などもありますが、姿勢が良いとお客さまに安心と信頼を与えることができるからです」と答えたのを思い出しました。当時、目からウロコだったんですよね。


186120_100000000193084_417986_n.jpg前田 それはポイントをついた話ですね。今日、昼間にギリシャ大使とご一緒したのですが、姿勢が真っすぐで格好がいいんですよね。これって、外交官として世界共通で重要なことのような気がするんですよね。そのうえ、身振り手振りがさらにステキで魅了されます。


鍛治中ニュー.jpg鍛治中 良い姿勢の基本は自然体と力みのない状態です。良い姿勢を意識することと胸を張って緊張することをイコールだと勘違いする人が多いのですが、じつは逆なんです。武道の世界では「礼に始まり礼に終わる」と言われるように礼法をとても大切にします。この時の姿勢は攻撃および防御に最も適した自然体を良しとしていることが多いことからも、その重要性がわかるのではないでしょうか。

186120_100000000193084_417986_n.jpg前田 じゃあ、僕らが子供のころに言われた「胸を張る」っていう表現は誤解をまねくと…。力が入っちゃうイメージがありますもんね。


yukari.jpg雲水 幼稚園では、姿勢が良い先生は子供に人気がありました。姿勢が良いことで身ぶり手ぶりがハッキリしていて、声も良く通っています。それが子供にとって安心感を与え、伝えたいことをよりダイレクトに伝える。逆に、姿勢の悪い先生は、自然に声もジェスチャーも小さくなるので、子供にメッセージが伝わりにくいのです。子供は本能でそれを感じとっています。


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前田 よく手入れされた楽器は音がいいってことですね。(ドヤ顔)



鍛治中ニュー.jpg鍛治中 何かを伝えるというと真っ先に言葉を思い浮かべる人も多いと思いますが、実は表現の中で言葉が占める割合は少なくて殆どが身体表現(ボディランゲージ)なんですよね。英語が苦手な人が電話で外国人と話すとチンプンカンプンですが、直接会って身振り手振りを交えて話すと意外と伝わったりします。


173341_100002003532750_5635760_n.jpg角矢 海外の素晴らしいマジシャンの演技を思い返すと、身体の動きの美しさは、演技者の魅力に繋がっています。世界で活躍しているマジシャンや歴史に名を残すマジシャンたちの実際の舞台や写真や映像などを観ますと、立ち姿だけでも非常にカッコいいのです。どんなに技術が上手くても、姿勢一つで観客に嫌われてしまったら、これほど残念なことはないでしょう。

186120_100000000193084_417986_n.jpg前田 よく「オーラ」や「存在感」なんて難しい言葉が演劇用語で出てきます。それは、僕は立ち姿が美しいこと、力が抜けて、動きがスムーズであることだと思っています。新渡戸稲造の著書『武士道』で「優雅な作法は内に力を蓄える」と書いている。マジシャンをはじめ、演技者の秘密はそのあたりにあるのではと、僕は思っています。

ディスカッション後の編集後記…
マジシャンに限らず、立ち姿がステキに見えることはきっと大切なはず。それを身につけることは日々の訓練など、すぐにできることではありません。しかし、一度自分のものにすれば、きっと人を魅了する上での武器になります。

ときには、医師、柔道整復師や武道家など、正しい知識を持った専門家のきちんとした指導を受けることも忘れずに。ケガの予防をしたり、健康になるというオマケもつきます。ぜひ皆さんも素敵なシセイで幸せな人生をどうぞ!


コミュニケーション

「活字離れ」といわれて久しいですが、ここでいう活字とは書籍のこと。ネット情報に押されて、人々は本を読まなくなっているといわれます。そして、そこからさらに踏み込んで、ただ読めばいいというのも少し違うのでは…、なんてことをディスカッションしてみました。
1つの投稿が140字に限られ、多くの人が出入りするツイッターでは、そんなディスカッションは難しいはず。ツイッターの創始者のジャック・ドーシーは、そんなふうに議論になりにくいように140字に設計した、なんて話すらあります。そこで、今回もfacebookのグループ機能を使い、とりあえず、住んでいる場所も職業もバラバラの4人ではじめてみることにしました。共通点は「マジック、ラブなこと」。

前田 知洋

186120_100000000193084_417986_n.jpg前田 知洋(まえだ ともひろ)クロースアップ・マジシャン。100以上のテレビ番組やTVCMに出演。歴代の総理大臣をはじめ財界人にマジックを披露。英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle London のゴールドスターメンバー。著書に『知的な距離感』(かんき出版)『人を動かす魔法のことば』(日本実業社出版)『新入社員に送る一冊』共著(日本経団連出版)ほか。このサイト、h3mのパブリッシャー。

鍛治中 政男

鍛治中ニュー.jpg鍛治中政男(かじなか まさお)治療家。広島で治療家として城山整骨院を経営しているかたわら、「キッズショウ」で定期的に子供たちにマジックの披露や指導をおこなっている。パフォーマー(演技者)の姿勢や骨格バランスのケアに関して考察するなど、マジックと身体の関連性を日々研究している。

角矢 幸繁

173341_100002003532750_5635760_n.jpg角矢 幸繁(かどや ゆきしげ)翻訳家。『ロン・ウィルソン プロフェッショナルマジック』『デレック・ディングル・カ-ドマジック』『大魔法使いアラカザ-ルマジックの秘密』『ジェイミ-・イアン・スイスのクロ-スアップ・マジック』など、数々の名著を翻訳したほか、著作『英語でペラペラマジック』も執筆。ブログ「Better Late Than Never」ではマジック関連の話を優しく、そして熱く解説。
現在タマリッツの名著『BEWICHED MUSIC I. SONATA』を翻訳中。

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雲水(♀)

yukari.jpg雲水(♀)(うんすい)お酒と理屈、ドライブが大好き。介護福祉士、幼稚園教諭の経験をもつ。趣味のお菓子作りはプロ級の腕前とのウワサ。本名、顔写真、年齢、ぜんぶ非公開。